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あらゆるものを一口レビュー

【漫画レビュー(完結)】「マギ シンドバッドの冒険」原作:大高忍、作画:大寺義史 評価:☆☆☆☆☆

アラビア風ファンタジーの名作「マギ」の前日譚。

こちらも名作です!

「マギ」で重要な役割を担ったシンドバッドを主人公としたスピンオフ作品です。

 

幼少時代に過酷な体験をしたシンドバッドは、戦争に力を注ぐ故国パルテビアに反発していますが、ただの平民の少年に現状を変える力などありません。もどかしい思いを抱いていたシンドバッドがさすらいの旅人ユナンと出会うところから冒険は始まります。

 

ユナンから迷宮には王の力があると聞かされたシンドバッドは、同じく力を求めて迷宮に挑んだパルテビアの軍人、ドラコーンが迷宮の竜に殺されそうになっていたところを助けます。「使命を果たしていないのに死にたくない」と思ってしまったドラコーンはそれを恥じ、シンドバッドに「自分を殺せ」と言いますが、シンドバッドはそれを「くだらない」と一蹴します。

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引用元:大高忍大寺義史マギ シンドバッドの冒険」1巻p.194 小学館、2013年

シンドバッドはこのとき14才。ここに原点があることがはっきりと分かります。

 

最初の迷宮を攻略したシンドバッドは、金属器の力を携えてパルテビアを飛び出し、様々な出会いと冒険を経て、やがて商会を設立して国作りへと発展させていきます。

が、その道は険しいもので、サバイバル生活を送ったり、奴隷に落とされて心が折れてしまったり、大切な人の死を経験したりと何度も挫折を繰り返しながら成長していくのです。

 

暗くて重い話も多いのですが、それらがこの物語に厚みを与え、シンドバッドの思想に共感できるものにしています。

 

最後は「マギ」に繋がる形で綺麗に完結しています。

 

「マギ」本編が好きな方は絶対に読んで後悔しない作品です!

 

また、本編を読んでからの方がよりこの世界とキャラクターを楽しめると思いますので、本編未読の方は読了後に読むことをお薦めします。