【漫画レビュー(完結)】「シークレットコード 不機嫌な暗号探偵」とりこぼ縞屋 評価:☆☆☆☆☆
暗号解読専門の探偵と助手の少女の話。
本格的な謎解きと温かく切ない物語が噛み合わさった名作です。
千薫生 紺一郎(ちとせ こんいちろう)は暗号解読事務所を営む19歳の青年です。助手のモモは10歳の少女の幽霊。
引用元:とりこぼ縞屋個人サイト
…この設定だけ見ると、凡百の現実味のないマンガみたいですね…。
ですが、この作品はそういったものとは一線を画しています。
なぜ紺一郎がこの若さで探偵事務所を営んでいるのか、なぜ10歳の少女が助手をしているのか、なぜモモが幽霊なのか。
きちんとその設定に説得力を持たせつつ、同時に感情を揺さぶる愛おしさと切なさをも盛り込むという離れ業に成功しているのが凄い!
紺一郎の頭脳と根っこにある優しさ、モモの可愛さと気遣い、そういった魅力が丁寧な作画で描かれており、読んでいて幸せな気持ちになります。
一話完結形式なので様々な依頼人が登場しますが、皆それぞれに事情や思いを抱えている人ばかり。それらがすっと溶けていく感触は病みつきになりますね。
一方、暗号は本格的ですので謎解きが好きな人も楽しめると思います。悔しいことに、私には難しすぎて全く解けませんでしたが…。
また、作品と読者に対する作者の誠実さも特筆したいです。
暗号を実際に自分で作って確かめていたり、コミックスのPRを全て書き下ろしたり、カバー絵や紙にも相当こだわっておられるとのこと。
応援したくなります!
感動的なドラマが好きな人にも、謎解きが好きな人にもオススメしたい名作です。
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