【アニメレビュー】「Go!プリンセスプリキュア」 評価:☆☆☆
「プリンセス」をテーマとしたプリキュア。綺麗にまとまっているんですが、小さくまとまり過ぎてしまったかな…?
プリキュアシリーズ第12作で、放映期間は2015~2016年。
主人公の春野はるかは「プリンセスになる」という夢を持つ、中学1年生。
…すみません、正直に言うとこの時点であまりのイタさに一度観るのを止めました。
だって、中学生女子の夢が「プリンセス」って…ねえ?
ですが、あちこちで「神作品」などの評価をされているのを目にして、最後まで観れば面白いのかも知れない、と思い直して観てみました。
なんというか…色々と凄いです。
格好良い場面もあるのですが、シリアスな場面でもツッコミたくなるというか、思わず笑ってしまうところも多々あります。
例えば、変身シーンは美しいですし、その後の決めゼリフ「お覚悟はよろしくて?」は格好良くて痺れます。
が、戦闘は基本的に殴り合い。
プリンセスがドレスで肉弾戦ですよ。
シュールな絵面に、思わず笑ってしまいました。戦闘自体はスピード感と迫力があって良いんですけどね。
ただ、スカーレットバイオリン、あれはダメでした。おもちゃに合わせないといけない大人の事情は分かりますが、いくらなんでもチャチすぎる。おもちゃそのものやん!
あれを「バイオリン」と言うのは無理があります…。それに、これだけ戦闘時のテンポが悪いんですよね。弾かないと技が出ないから、そこでもたつく。折角のスピード感が台無しです。
更に、敵を倒した後のお辞儀は格好良いんですが、決めゼリフが「ごきげんよう」。
…正気か?
倒しておいて「ごきげんよう」ってどういうこと!?言葉の追い打ち…?
また、後の話でパワーアップした際には敵が「ドリーミングゥ…」と言いながら浄化された後に決めゼリフ「ブルーミング」。
そこ、韻踏むんかーい!!しかもブルーミングって何が咲くねん!!
…と、こんな感じです。まあ楽しめたから良いんですが。
さて、ストーリーについては全く緊張感を感じなかったのが残念でした。ピンチになったり落ち込んだりしても割とすぐ立ち直ってしまうので、全体的に順風満帆で起伏が少ないという印象を受けました。
敵もあまり魅力的ではありませんでしたし。
ボスのディスピアーは無策のまま幹部を一人ずつダラダラ送り付けて来るだけですし、敵幹部も毎回同じようにゼツボーグを呼び出して負けるだけ。
「今回こそ!」とか言いながら、やることが全く同じってどうなん…。そりゃ同じ結果になるやろ、と。
プリキュア側に比べると全く学習しないので、脅威とは思えませんでしたね。
トワイライトは折角プリキュアに対抗できる存在で見た目も立ち居振る舞いも美しくて良かったのに、早々に退場してしまいましたし。
ストップとフリーズも好きでしたけど、ポージング要員ですし。
また、「夢を絶望で閉ざしてやる」という目的も、「じゃあ君たちのそれは夢じゃないの?」という矛盾をはらんでいてスッキリしませんでした。
一方で味方側のキャラクターは良かったです。特に天の川きららと七瀬ゆい。
きららは最初から夢をしっかり持っています。そのためにプリキュアになるのを断ったりするなど、性格もはっきりしていて好感が持てます。変身時に後ろ手を組んだりウィンクして投げキッスしたりとかは「狙いすぎやろ!」と笑ってしまったのですが、それはそれで素直に可愛いのでまあアリかな、と。
ゆいは最初頼りなさそうでしたが、最後には自力で絶望の檻を破るまでになりました。この作品で随一の熱さを持ったキャラクターでしたね。実は彼女が一番プリキュアに向いていたんじゃないかと思います。覚醒して変身するかもと、最後まで期待していたんですが…残念。
他にも、ロイヤルティーチャーのミス・シャムールや寮母の白金(しろがね)など、脇役に味がありました。一番出番のあったロイヤルフェアリー兄妹はイマイチ影が薄かったですが。
後、最終決戦で敵幹部が絡む展開は唐突な感じがして違和感が残りました。それぞれの心情や信念の掘り下げが足りなかったんじゃないかなあ…。
ラスボス戦の決着の仕方は良かったです!その後のラストシーンも綺麗にまとまっていました。
全体としては綺麗にまとまっていて悪くはないのですが、ストーリーの起伏や緊張感に乏しく、名作とまでは言えないかなあ、という感想でした。