【漫画レビュー(完結)】「辺獄のシュヴェスタ」竹良実 評価:☆☆☆☆☆
舞台は中世、暗黒時代のヨーロッパ。魔女狩りによって大切な人を奪われた少女・エラは、復讐のために生き延びることを決意する…!!
とにかく凄い作品です。間違いなく名作ですので、読んでいない方は読むべき。
なんと言ってもキャラクター、主人公のエラが凄いです。
私もこれまで数々の作品を観たり読んだりしてきましたが、それらの作品に出てくる全てのヒロインの中でもエラの強さはトップではないでしょうか。どれほど絶望的な状況にあっても諦めずに打開策を考え続け、決して折れることがありません。
そしてその強さと覚悟に裏打ちされた凄み、迫力。
読者の方が絶望する状況で力強く光明を見出していく姿に何度感動させられたことか。
例えば、復讐で人を殺したら地獄に行くのだろうかと考えた場面。
この覚悟…。
また、いじめられていたテアを助けたことで自分がいじめの標的になり、後ろから生ゴミを投げつけられたとき。
全く怯まず、揺るがないこの眼差し。心に突き刺さります。
また、エラと共に修道院に反逆する仲間たちとの絆も熱いです。
知恵の働くロマの娘カーヤ、不器用でドジだが温かいヒルデ、信用していた友人に裏切られた過去が元で他人を信用できないテア、一年先輩で経験豊富なコルドゥラ。
最初のうちはぎくしゃくしたりもしますが、共に死線を潜り抜けていくうちに、言葉がなくてもお互いの考えを理解し合えるほどになっていきます。
本当に相手を思うが故に、そこに馴れ合いの優しさはありません。しかし、その壮絶とも言える関係が良い!
ストーリー展開も素晴らしいです。さり気なく伏線が張られていたりするので、何回読み直しても楽しめます。
魔女狩りで処刑された人の子供を集めた非道な修道院。逆らう者は容赦無く四肢を切断されたり殺されたりしていきます。
その中を生き残り、3年後の誓願式で総長への復讐を果たせるのか…!?
残酷な場面があるのでそういうのが苦手な方はダメかも知れません。でもそうでない方には是非一度読んで欲しいです!!