yofuu’s memo

あらゆるものを一口レビュー

【漫画レビュー(完結)】「BABEL」石川優吾 評価:☆☆

南総里見八犬伝をアレンジしてコミカライズ!…との謳い文句だったはずなんですが。

面白くならないまま意味不明なオリジナルの方向に突き進んだ挙げ句、尻切れで終わるという…。

舞台は江戸時代。比叡山の僧・丶大(ちゅだい)と、どこからともなく現れた不思議な犬・ハチは、千日回峰行という厳しい修行に挑みます。

 

生命の危機にさらされながらも丶大とハチは無事に修行を終え、ハチは神の狗(いぬ)となって八房(やつふさ)と名を変えます。そんな八房の噂を聞いて助けを求めてきたのは隣国の山下家に侵略されている安房国(あわのくに)里見家の姫・(ふせ)。丶大は八房の導きにより、伏姫に手を貸すことになります。

 

一方その頃、里見領では山下兵による略奪に抵抗する農民、犬塚信乃の姿がありました。犬塚家は元々は武士だったのですが、事情により今は農民として暮らしています。

 

丶大、八房、伏の一行は山下兵に襲われたところを信乃に救われ、共に戦うことになります。しかし、山下家は強大な闇の力を使う妖婦・玉梓(たまずさ)に乗っ取られていたのでした。

 

闇の力を持つ者たちと光の力を持つ者たちとの壮大な戦いの物語です。

 

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引用元:石川優吾「BABEL」第1巻第1話 小学館、2018年

 

とにかく突っ込みどころが多過ぎて追いつきません…。

 

闇の力による危機は日本中に広がってしまうのですが、何故ただの地方の一領主の娘に過ぎない伏姫が光の力の中心となって神格化されているのか?という根本の部分で引っかかってしまいました。それから後も、何故このキャラはこんな行動を…?みたいなことが多く、物語に入り込めませんでした。

 

後半は更に酷く、突然この作者の他の作品のキャラクターや設定が出てきたりして訳が分からなくなります。作者の頭の中では色々と繋がって凄い作品になっているのかも知れませんが、伝わってきません…。

 

ラスボスも陳腐ですし、最後の方は尺がなかったのか、残りのメンバーが突然八犬士になったりなど、やっつけ感が強かったです。

 

個人的には絵柄もあまり好きではありませんでした。画力自体は高いと思うのですが、線の細さやギャグシーンのデフォルメなどが今ひとつ肌に合わない感じです。決めシーンなどの絵は綺麗で格好良いんですが。

 

残念ながら個人的には非常に読み辛く、魅力の無い作品でした…。