【ブックレビュー】「かたばみ」木内昇(きうちのぼり) 評価:☆☆☆☆
戦中から戦後の日本を舞台に、東京の片隅で慎ましくたくましく生きる、とある家庭の日々。キャラクターが立っていてストーリーも良い名作です。
昭和18年の東京。国民学校(小学校)の教師となった元槍投げ選手の悌子は、その豪快な体躯と性格で子供たちから慕われています。ずっと慕ってきた幼馴染の清一とそろそろ結婚か…という頃、戦争が激しさを増していきます。
悲しい出来事に傷つき心折れそうになりながらも、強く真っ直ぐに生きていく人々の生き様を描きます。
何と言っても登場人物が魅力的です。
悌子の下宿先の頑固なケイ婆さん、その息子の嫁できっぷの良い朝子、朝子の母で控えめで面倒見の良い富枝、朝子の兄で気は優しいが貧弱な権蔵など、キャラが立っていて面白いです。
権蔵の気弱な呟きやケイ婆さんのツンデレな嫌味などには笑わされてしまいました。
みんな性根が良い人たちなので、読んでいて温かい気持ちになれるのも良いですね。
その一方で真理を突いたドキッとするようなセリフも多く、深い人間ドラマが楽しめます。
万人におすすめできる名作ですが、そのまま朝ドラにできそうな感じなので、特に朝ドラ好きな方には是非一度読んでみて欲しいです!
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