yofuu’s memo

あらゆるものを一口レビュー

【漫画レビュー(完結)】「マージナル・オペレーション」原作:芝村裕吏、漫画:キムラダイスケ 評価:☆☆☆☆

平和な日本で無気力に過ごしていた男が応募した職場は戦場だった…!

現代のリアルな戦争とそれに翻弄される子どもたちや取り巻く人々を描いた名作。

勤めていたデザイン会社が倒産し、無職となった30歳男、新田 良太(あらた りょうた)。専門学校を卒業後、7年間ニートとして過ごした過去を持つ彼は、将来に希望もなく淡々と無気力な日々を過ごしていました。

 

次の職を探していたときに目に留まったのが民間軍事会社「自由戦士社」。仕事内容もよく分からないまま契約したアラタは、平和な日本では想像もつかない、過酷な世界の現実を知ることになるのでした…。

 

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引用元:原作:芝村裕吏、漫画:キムラダイスケマージナル・オペレーション」第1巻第1話 講談社 、2013

 

子どもたちを兵士として使い捨てにする、戦争や平気をビジネスとするなど、怖いし憤りを感じる話ではありますが、世界のどこかでは現実に起きているのだろうと考えさせられます。

 

また、アラタは自分で武器を持って戦うのではなく、オペレーターとして指揮する立場になるのですが、全てが電子化されており直接血や死体を見なくてよい仕組みになっているところもリアルに感じました。

 

戦争を食い物にする人間に憤り、悲惨な境遇の犠牲者たちに心が痛くなる一方で、死傷者を最小限に抑えようとするアラタの活躍が痛快に思えるときもあります。また、子どもたちの日常生活で見せる無邪気さと戦闘時の冷酷さのギャップなど、激しく感情を揺さぶられました。

 

最後が少し唐突ではありましたが、現代の戦争、子どもたちの境遇などについて思いを馳せる機会にもなると思いますので、是非一度読んで欲しい名作です。