yofuu’s memo

あらゆるものを一口レビュー

【漫画レビュー(完結)】「capeta」曽田正人 評価:☆☆☆☆

天才的なドライビングテクニックを持つ少年の闘いと成長の物語。

 作者、曽田正人は「天才を描く天才」。作品の主人公がことごとく圧倒的な才能の持ち主なんですが、その表現が凄まじい。臨場感と迫力に溢れていて、思わず身震いします。

 

今作はカーレースなので、熱さと迫力に加えてスピード感が凄い!

 

主人公の平 勝平太(たいら かっぺいた=カペタ)は小学生のときにカートに出会い、際立った才能を発揮します。裕福とは言えない父親との2人暮らしで資金もない中、工夫と努力と閃きで困難を乗り越えていきます。

 

普段はボーッとして頼りないんですが、レースが絡むと別人のような気迫を発します。それはもう狂気に近いと言っていい。

 

例えば、子供の頃からずっと競うことを望んでいたにも関わらず、常に一歩先を行かれて戦えなかった宿命のライバル、源 奈臣(みなもと なおみ)。F3でついに同じレースに出られることになりますが、予選のタイムアタックで源がクラッシュしてしまいます。コースのすぐ向こう側で宙を舞っている源のマシンを横目に見たカペタが思ったのは…。

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引用元:曽田正人capeta」 14巻第47話 講談社、2007年

「オレのアタックをじゃますんな!!!」

 

うぉい!思わず叫んじゃいましたよ。コイツはある意味壊れてます。でもその一方で、だからこそこんな世界で戦えるんだと納得もいきます。

そういうところをしっかり描いてくれるから、この人の作品は名作になるんでしょう。

 

カペタを支える周りの人達や、源を初めとするライバルたちもそれぞれに熱い夢を持っていて魅力的です。

 

特に、F3から登場の金田 彬(かねだ あきら)との関係性が面白い。お互いに相手を認め合い、プライベートで仲良くなったり戦略上協力したりしながらも、絶対に相手に負けないという激しい気持ちも併せ持っています。

 

でもレース中に故意に源にぶつけられてカペタが凹んでいたら声を掛けに行ってしまったり。さすがにそれは人が良過ぎるやろ…と思ったら、ちゃんと監督に叱られてました。それも名言。

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引用元:曽田正人capeta」30巻第110話 講談社、2012年

「敵に塩をおくる」いうことは「強さ」ちゃうで!

 

この監督がまた男前で、金田と固い信頼で結ばれているんですが、何より読者の突っ込みをしっかりフォローしてくれてる…。中々そういう作品はありませんよね。いや、ほんと名作です。

 

口数の少ない源の想いや勝利への執念もしっかり描かれていて、カペタ以上の覚悟と才能を持った、超一流のドライバーだというのが実感できます。

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引用元:曽田正人capeta」15巻第52話 講談社、2007年

この2人がどんな戦いを繰り広げるのか。ずっと楽しみで仕方なかったです。

 

そしてついに、F3の世界一を決めるマカオGP(グランプリ)で対決!!この頭脳と技術と精神力を極限まで高めた戦いを制するのは…是非読んで確かめてみて下さい!

 

そして、衝撃のラスト

 

F1で再びカペタvs源を見られるんだろうなと思っていたら、マカオGPで完結…!!

 

その理由が、ここから先のストーリーはもうミラクルとは思えないから…だそうで。

やっぱり天才だわ、この人…。次の作品も楽しみです!