yofuu’s memo

あらゆるものを一口レビュー

【漫画レビュー(完結)】「OverDrive」安田剛士 評価:☆☆

なんの取り柄もない男子高校生が、ロードバイクに出会ったことをきっかけに自分を変えていこうとする物語。

…になるはずだったと思うんですが…。

バラ色の高校生活を夢見ていた篠崎(しのざき) ミコトは、入学早々に不良たちのパシリにされ、友達もできない毎日を送っていました。

そこに話しかけてきたのが、憧れの美少女深澤(ふかざわ) ゆき。彼女は兄に頼まれて自転車部の部員を探していたのでした。

 

自転車に乗ることもできないミコトでしたが、「才能がある」と言ったゆきの適当な言葉を真に受けて自転車部に入ります。

 

そして、クセのある先輩たちやライバルと出会い、戦うことで成長していくのでした。

 

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引用元:安田剛士OverDrive」第1巻第1話 講談社、2005年

 

枠組みは王道でありがちですが、それゆえに悪くはない熱血スポーツ物です。

しかし、全てが浅すぎました。

 

まずキャラクターの性格がブレまくりです。友達もできないようなキャラクターだったはずのミコトですが、ライバル校の知らない人たちにどんどん話しかけてすぐ仲良くなります。また、最初は絵に情熱を燃やしていたのに、自転車部に入った後は全く絵についての描写がありません。

他にも、自分のことしか考えておらず、仲間に殴る蹴るの暴行を加えるようなキャラクターが突然仲間を応援し始めたりなど、唐突に性格が変わることがあり、ついていけません。

 

更に、キャラクターの掘り下げもワンパターン。ほぼ全員が家庭に何らかの問題を持っていて、レース中にその回想が入ります。そして、力を使い果たしたはずが回想が終わると復活して相手を抜き去ります。全キャラクターでそれをやるので飽きてうんざりしてきます。

 

また、ギャグのつもりなのかキャラ付けのつもりなのか分かりませんが、リレー方式のレースでマネージャーが勝手に出走順序を変えたり、チームメイトのドリンクにお汁粉を入れたり、ドリンクを入れ忘れたり、一時的に目が見えなくなった仲間からのタスキを受け取らずに必死で作ったリードを無にしたり、先導車が下り坂の途中で止まっていて選手がぶつかったり…それはやっちゃダメだろ、という行動ばかりが目につきます。

 

リアリティーも皆無です。例えばミコトは自転車に初めて乗れるようになってから1ヶ月で日本有数の実力者たちと伯仲の勝負をして負け、悔し涙を流すんですが…野球で言えば、初めてボールを持った初心者が、1ヶ月後に甲子園上位校の選手たちに負けて悔しがってるってことですよ?違和感しかないし、全く感情移入なんてできません。自転車ならOKだと思ったんでしょうか?

 

どれだけ力を使い果たしても、ちょっと応援があれば復活しますし、大ゴマで熱さを強調されても冷めた目でしか見られませんでした。

 

アニメ化もされているので人気なのかも知れませんが、個人的には全くオススメできない作品です…。

絵は悪くないんですけどねえ。