【漫画レビュー(完結)】「BECK」ハロルド作石 評価:☆☆☆
平凡な中学生が天才ギタリストと出会い、その才能を開花させていく…。
波瀾万丈のバンドストーリー。
田中 幸雄(たなか ゆきお、コユキ)は平凡な中学生。取り立てて得意なこともなく、このまま退屈な一生を送るんだろうと思いながら毎日を過ごしています。
そんなある日、ツギハギだらけの奇妙な犬、ベックを助けたことから飼い主の南 竜介 (みなみ りゅうすけ)と知り合います。竜介は変人ですが天才的なギタリストでした。それに影響されて、コユキもギターを弾き始めます。
ひょんなことからコユキの歌を聞いた竜介はコユキのボーカルとしての才能に気付き、自分の作る最強のバンド、BECKにコユキを誘い入れます。
そして5人のメンバーが揃ったとき、BECKは奇跡的な化学反応を起こして輝いていくのでした。
ストーリーは波瀾万丈で面白いです。
コユキの学校生活に始まり、バンドメンバーとの出会い、メンバー同士の衝突、解散の危機、暗躍する大物プロデューサーとの対決など、最後まで目が離せません。
ただ、絵柄のせいか、全体的にキャラクターが淡々としていて熱を感じられなかったのが残念でした。
台風の中でのライブシーンやバンドメンバーの和解シーン、落ち込んで破滅に向かっていた竜介の復活シーンなど、ストーリーとして熱い場面は多々あります。が、キャラクターが淡々としているせいで今一つ乗り切れない感があり、消化不良な後味が残りました。
また、ライブシーンの観客の反応がワンパターンで、MCの千葉は「客を惹きつける天性のものがある」、ベースの平は「なんてファンキーなベースなんだ」、ドラムのサクは「成長の可能性を秘めている」。
毎回これなので、ちょっと食傷気味です。
特に千葉については、バンドでMCという立ち位置がよく分かりませんし、惹きつけられもしませんでしたので…。まあ、作品中でも本人がそれについて悩んでいたのですが。
ストーリーは面白いですし、全体的に見ても悪くはないです。
色々元ネタがありそうなキャラクターやバンドも出てくるので、バンド好きな方なら更に楽しめるのではないかと思います。