【漫画レビュー(完結)】「総理の椅子」国友やすゆき 評価:☆☆
「これは、政治を志し総理大臣を目指す一人の青年の物語である。」
…嘘である。面白くできそうなテーマなのに、色々と残念な作品でした。
とある衆議院議員の選挙事務所に現れた美形の大学生、白鳥 遥(しらとり はるか)。
その選挙を勝利に導いた彼は議員秘書となったことを皮切りに、政治家としてのステップをあり得ないほどの早さで上がっていきます。その眼差しの先にあるのは総理の椅子。
しかし、彼には恐ろしい野望があったのです。
政治をテーマにしたピカレスク・ロマン。…になる予定だったんだと思います。
謀略を巡らせ、政敵を陥れたり懐柔したりしていくなら面白いんですが…この作品はそれ「風」なだけでした。意外性のある戦略も、息を呑む頭脳戦も何もありません。それどころか、賢い設定の白鳥はほとんどの場合、色々な女性とセックスをしているだけです。それでピンチになると勝手にその女性たちがなんとかしてくれます。
一言で言えば「つまらない」。
警察との癒着や政治家の汚職、政策など口にしなくても好感度だけで支持率が上がる衆愚政治など、現代社会の問題点は描かれるものの、深掘りはされません。舞台装置としてサラッと流されます。
そういうテーマをきちんと描いて欲しいし、その方が良い作品になると個人的には思うんですけどね…。
他の人におすすめしようとは思いませんが、「昭和のオジサン」世代なら好きな方もいるんでしょうか。色々な女性とセックスしていたら出世していく、ドラマ(っぽいけど底は浅い)話もある、みたいな作品は割と人気のような気もしますので。
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