【漫画レビュー(完結)】「最終兵器彼女」高橋しん 評価:☆☆☆
付き合うことになった気弱でドジな彼女は、「最終兵器」だった…?
瑞々しい恋心を抱く高校生のカップルを中心に、終わりゆく世界を描く物語。
ひょんなきっかけで付き合うことになった高校生のシュウジとちせ。付き合うといってもどうすれば良いかもよく分からない、ぎこちない二人ですが、少しずつ距離を縮めていきます。
しかし、あるとき突然戦争が始まり、ちせは「最終兵器」にされてしまいます。
そして世界は少しずつ、しかし確実に終わりに近づいていくのでした…。
「セカイ系」の代表的な作品として語られることが多い本作ですが、個人的には「アポカリプスフィクション」や「終末もの」(世界の終焉を描く物語)に分類されるのでは、と思いました。
世界の終わりは変えようがなく、二人の恋愛がそこに影響を及ぼす訳ではないので。
まあ、分類なんて大した意味はないと思いますし、私の理解が間違っている可能性もありますので、どうでも良いですね…すみません、蛇足です。
ツッコミどころは多いです。
・なぜちせが選ばれたのか
・いつの間に改造されたのか
・どんな仕組みで変形したりミサイルなどが無限に作り出されるのか
・他に同様の兵器がないのはなぜか
・そもそもなぜ戦争をしているのか
・世界の終わりや戦争のきっかけになる情報すら国民に全く知らされないのは不自然
などなど。
それでも、終わりゆく世界の中で人々が微かな希望を持ち、支え合って生きていこうとする残酷な話を、柔らかく優しいタッチと丁寧な心理描写で描かれると胸に来るものがあります。
私はツッコミどころが引っ掛かってそこまで入り込めなかったので、かえって幸いだったかも知れません。あまりそういう点が気にならない人がうっかり物語世界に入り込んでしまうと、鬱々とした気持ちになってしまいそうです…。