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あらゆるものを一口レビュー

【漫画レビュー(読み切り)】「明日は淵瀬(ふちせ)」米代恭(よねしろきょう) 評価:☆☆☆☆

孫娘をブラック企業から救ってくれたおばあちゃん。ですが、二人で暮らす彼女たちの関係は少しずつ変化していき…。

少し切なく、でも心温まる物語。

 

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引用元:米代恭「明日は淵瀬」 講談社、2019年

 

 「淵瀬」とは「昨日の淵が今日は瀬となるように、世の中が絶えず移り変わっていくこと」だそうです。漫画も読んでいると知識が増えますね!

 

主人公のヨーコは28歳の女性。ブラック企業で身も心も擦り減らして働いていましたが、祖母に救われてすっかり元気を取り戻したところ。

 

ほんの導入部なんですが、まずここまでの描写が素晴らしいです。

働いているときの死んだ目、おばあちゃんの一言を聞いたときの涙、その後のイキイキした笑顔と、表情で全てを表す表現力が抜群です。特に今の楽しそうな様子や美しいものを感じられる感性を見ると、本当に辞めて良かったね、とそれだけで少しうるっときちゃいます。

 

ですが、そこに様々な出来事が重なり、やがてヨーコは独り立ちを考えるようになっていくのです。

 

感謝はあるし大好きだけど、いつかは別れて独り立ちしなければいけない…本作では祖母と孫ではありますが、親離れ子離れの重要なテーマですよね。

普遍的で誰もがする経験だからこそ、胸に迫って少し切ないながらも温かい気持ちになるのでしょうか。

 

そこを丁寧に描いた名作です。