【漫画レビュー(完結)】「寄生獣」岩明均 評価:☆☆☆☆☆
ある日、突然空から降ってきた謎の生命体。それは人間の脳を喰らって人間に成り代わり、他の人間を食べるという恐ろしいものだった…!!
人間とは、生命とはという壮大なテーマを見事に描ききった神作。これは本当に一度読んでおくべきです!
ある晩、突然空から降ってきたイガ栗状の物体。そこから生まれた軟体生物は、人間の脳を食べてその人間に成り代わり、更に成り代わった後は他の人間を食べるという、人間の天敵のような生命体でした。
偶然脳の代わりに右手を食べられた高校生、泉 新一(いずみ しんいち)は、右手に寄生したその生物に「ミギー」と名付け、共存していくことになります。
人間を守りたい新一と、他人の命はどうでもいいと考えるミギーは時に意見を対立させながらも少しずつ互いのことを理解し合っていきます。
そして、人知れず寄生生物との戦いに身を投じていくのでした…。
最初から最後まで、構成が完璧。たった10巻64話とは思えない濃度で、哲学的なテーマの人間ドラマとアクションが展開されながらも説明不足になっていないという、凄まじいほどの完成度です。
作画も素晴らしいです。無駄なセリフや描写が無く、表情で語らせる心情、戦いの場面ではスピード感と緊張感がありつつ見やすい構図、寄生生物が人間を食べる恐怖などをしっかり感じさせてくれます。
最初は不気味に思えたミギーが、最後には愛しく思えて来るのが不思議。
「心に余裕(ヒマ)がある生物 なんとすばらしい!!」
単体で見ても名言ですが、ここまで読んできて涙なしにこのシーンを読める人がいるでしょうか…。
かなり古い作品ですが、名作は何年経っても色褪せず感動させられるということを教えてくれます。
絶対に一度は読んでおくべき、神作と言って良い傑作です。