【漫画レビュー(完結)】「ラスト・ウィザード」聖悠紀 評価:☆☆☆
昔ながらのSFという感じです。
引用元:聖悠紀「ラスト・ウィザード」 SG企画、2015年
収録されているのは、表題作の「ラスト・ウィザード」の他、「エニカ」「ソーラー・スナイパー」「魔女の季節」の3作品です。
「ラスト・ウィザード」は3話構成、他の3作品は1話完結です。全てSFベースですが、内容は純粋なSFもの、お仕事もの、恋愛ものと多彩です。
以下、各作品の感想です。
ラスト・ウィザード 評価:☆☆☆
「ジャンク」と呼ばれるロボットをたった1人で破壊し続ける男。一体いつまで、何のために…?
彼はその謎を知る為に、禁忌とされる場所へ向かうのでした。
SFとしては割とありがちな話かなと思いますが、簡潔にまとまっていて良いですね。
ただ、最後は唐突で消化不良でした。
呪文についても特に説明は無かったので、続きが欲しいところです。
エニカ 評価:☆☆☆☆
人類に奉仕する為に作られたロボット、エニカ。
しかし、彼女は殺人マシンとして破壊されようとしています。
破壊に向かうのはかつて彼女を作った博士。
彼女はなぜ人を殺したのか?
博士の胸に去来するものは…?
命を狙われているにも関わらず静かな佇まいのエニカが魅力的で印象に残ります。
ロボットと人の間に育まれた情のようなものが美しく切ない、名作です。
ソーラー・スナイパー 評価:☆☆☆☆
スペースデブリ(宇宙に放棄されたゴミ)を回収する男たちの話。
題名の「ソーラー・スナイパー」というのは空間作業船のことで、ちょっとずっこけました。
ソーラーでもスナイパーでもないやん!
ちょっとネーミングに問題ありですね…。
内容はお仕事ものです。彼らはなぜ命を懸けた危険な仕事に挑むのか?
チームメンバーそれぞれの思いや背景を交えつつ、物語が進みます。
ロマンですね!
魔女の季節 評価:☆☆
魔女?これは一転してファンタジーかー、と思いきや…。
内容としては、バリバリの少女マンガ。絵柄、キャラクター、ストーリー全てが典型的です。SFで味付けはしてあるものの、ツッコミどころしかないので何とも…。
魔女の集会でいきなり演説を始める男の子にも「ええ…?」って感じですが、その男の子を見て「好きな女の子でもいるのかな…?」と考える主人公にさらに「ええ…?」となり、その男の子のアパートにいきなり押しかけて同居すると言うに至ってはもう、何を読まされているのかという気分になります。
この、「好きな女の子でも…」から同居までの間に本当に何もないんですよ!?
次のページをめくったら、主人公が男の子のアパートに居て「ここから学校に通う」とか言ってるんですよ。しかも「私のこと嫌い?」とか言い出すし。
男の子からすれば、自宅に帰ってきたらいきなり知らない女の子が居てこんなこと言い出してるんですからね。好き嫌い以前の問題でしょうに…。
いくらなんでも、あまりにも雑すぎです。
まとめ
SFという共通項を持ちながらバリエーション豊かでなかなか面白かったです。
SF好きな方や男のロマンを感じるものが好きな方にオススメです。