【漫画レビュー(完結、続編あり)】「フォーシーム」さだやす圭 評価:☆☆☆☆
「キング」と呼ばれる36歳のベテランピッチャー、逢坂猛史。試合中の事件で日本球界を追放され、メジャーに挑む!
全盛期を過ぎたピッチャーがメジャーで通用するのか…?
さすがに嘘くさいだろう、と舐めてかかったら尋常じゃなく面白かったです。
逢坂の性格が強烈過ぎて、ぐいぐい引き込まれました。
王様キャラで自己中心的かと思えば、さりげなく若手にアドバイスしたりチームの士気を鼓舞するなど、チームの為に働いていたりします。
試合ではアドレナリン出まくりなのに、ピッチングは緻密な心理戦と精密なコントロールで抑えます。
このギャップが魅力的!
そもそもメジャーに行くところからして、巧みにスカウトを利用して自分を招待選手として無理矢理捻じ込むんです。
でも、そこから実力を見せて認めさせ、這い上がる。これを痛快と言わずして何というのか。
更に、苦労して掴んだメジャー契約でも球団の最高責任者と意地の張り合いで対立し、自分からとんでもない条件を付けます。なんと、年俸1ドル(約120円)。但し、1セーブするごとに2倍。セーブに失敗したら1ドルに戻る、というもの。
もう凄過ぎて笑うしかない。
果たして、逢坂はどこまでいけるのか。この契約のおかげで、読者まで緊張感を味わえます。
ややワンパターンではあるものの、試合での心理戦や試合展開も面白く、先が気になってどんどん読んでしまいます。
自分を追い詰めることで力を発揮する逢坂ですが、この悪い顔…。確信犯です。
主人公のキャラクターが飛び抜けていると、それだけでドラマになるんだなあ、と思わせる傑作。
野球に詳しくない方でも楽しめると思います。
なお、同じ作者の前作「なんと孫六」の主人公、甲斐孫六との対決もあるので前作ファンの方も是非読んでみて下さい!
最後、え、これで終わり!?って感じの中途半端なところで完結したと思ったら、続編が連載中らしいです。それはもう読むしかない!