【漫画レビュー(完結)】「チ。―地球の運動について―」魚豊(うおと) 評価:☆☆☆☆☆
地動説を巡る、知と血の物語。
全てのセリフが名言と言える、最初から最後まで鳥肌立ちっ放し、感動しっ放しの神作です。全人類が読むべき!
「C教」という宗教が支配する15世紀のP王国。神が作った地球は当然宇宙の中心にあるとされ、異を唱えた者は片っ端から処刑されています。
しかし、星に惹かれ、観察するうちに真実に辿り着いてしまった者たちもいたのです。
そう、「地球は動いている」。
信念、知識欲、名声、命。あらゆるものを天秤にかけ、彼らが選択する道は…?
人の生き方というものを深く考えさせられます。
引用元:魚豊「チ。―地球の運動について―」第1巻第1話 出版社、2020年
絵は拙い印象です。
ですが、その他の全てが傑出しています。
信念を持ちながらも葛藤し迷うキャラクター達、意外性に満ちたストーリー、重厚なテーマ。更に、何と言っても全く無駄のないセリフ回しが圧倒的。どこを取っても名言になるんじゃないでしょうか。
また、扉絵やタイトルの表現が限りなく美しいです。
内容と相まって、これを見るだけで涙が出てくるほど。
処刑や拷問など残酷な場面もありますが、ただ売れるために刺激的なシーンを描くようなそこらの作品とは別次元のものです。読んでみれば、全て意味があっての描写であることが納得できるでしょう。
読めば感動し、考えさせられ、勇気づけられます。
あらゆる人が一度読んでおくべき神作です。
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