【漫画レビュー(完結)】「くにはちぶ」各務浩章(かかむひろあき) 評価:☆☆
無作為に選ばれた対象者を1年間無視する法律「無視法」が成立した世界。
対象者として選ばれた少女の孤独な闘いの物語…にしたかったんでしょうけど、いかんせん設定がガバガバすぎて、ツッコミどころしかありません。
無作為に選ばれた対象者を1年間無視する法律「無視法」が成立した日本。
対象者があまりの辛さに自殺した後、次の対象者として選ばれたのは中学2年生の天真爛漫な少女、道端(みちばた) たんぽぽ。
無視しなかった者が次々と逮捕されていく中、たんぽぽは独りでこの理不尽な法律と闘うことを決意するのでした…。
引用元:各務浩章「くにはちぶ」第1巻第1話 講談社、2017年
設定が何もかも適当です。「全員で無視する法律」という思いつきだけで、その背景を何も考えずに描いたんだろうなと思わせられます。
人権を無視するという、憲法違反のこの法律がどうやって成立し得たのか。
「イジメ被害者の気持ちを加害者に分からせるための法律」と語られていますが、対象者はイジメの加害者ではなく、ランダムに選ばれるのは何故なのか。
無視しなかったかどうかの判断は「監督官」一人の裁量で決められ、即1年の禁固刑に処されるが、法治国家の原則を無視した大権をどうやって持たせているのか。
無視対象者が犯罪を犯したときはどうするのか。
大衆の前で自殺した対象者の死体を踏みにじるような人間が何故総理大臣をやれているのか。
こういった疑問が次々と湧いてきますが、全く触れられることなく話が進むので頭が「?」で埋め尽くされます。
主人公の行動にも共感し辛く、何も良いところがない作品でした…。
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