【漫画レビュー(完結)】「あそびあい」新田章 評価:☆☆
セックスに全く抵抗がなく、周りとずれた感覚を持つ女子高生と、彼女に恋をしてしまった男子高生の話。
テーマは面白かったのですが、内容が浅かったのが残念。
高校2年生の小谷(おたに)は、「気持ち良ければいい」という感覚で複数の男性と肉体関係を持っています。その内の1人、隣のクラスの男子・山下は彼女のことが本気で好きになり、告白したものの振られてしまった過去があります。しかし、その後も体の関係は持ったまま。
そんな2人の微妙な関係を描く物語。
引用元:新田章「あそびあい」第1巻第1話 講談社、2013年
テーマは非常に面白いと思います。
小谷はセックスを特別なことだと考えず、「気持ち良いんだからすれば良いじゃん」という感覚を持っています。こういう考え方は少数派だと思いますし、非難する人も多いでしょう。しかし、「なぜ複数の男性と肉体関係を持ってはいけないのか」をきちんと答えられる人は果たしてどれ程いるのでしょうか。
性の問題は最もプライベートな部分であり、他人に強制されるものではないと私は思います。この意見には賛同して頂ける方も多いのではないでしょうか。
であれば、小谷のような考えの人がいても非難したり無理に変えようとするのは良くないと思うのです。自分と感覚が違うからといって、自分と同じにしようとするのはおかしいですよね。これは他の性的少数者の問題とも同じ要素をはらんでいる気がします。
閑話休題。
そんな深いテーマがあると思われるものの、描かれるのは山下の空回りや友達とのすれ違いなど、まったりとした空気感の日常風景。
刺激的なテーマを選びながら毒にも薬にもならないような話に、やや物足りなさを感じました。