yofuu’s memo

あらゆるものを一口レビュー

【ブックレビュー】「罪の境界(新聞小説)」薬丸岳 評価:☆☆

無差別通り魔事件に遭い、かろうじて命を助けられた女性の話。

作者が何を伝えたいのかよく分かりませんでした…。

主人公は20代半ばの女性。仕事に恋に忙しく日々を送っていましたが、ある日無差別通り魔事件に出くわします。そこで自分を庇って亡くなった男性から最期に

「約束は守ったと伝えてほしい」

という言葉を託されます。

 

自らも顔と心に大きな傷を負い、恋人とも別れて自分の世界に閉じ籠っていた主人公でしたが、やがて少しずつ回復し、男性の遺言を果たすためその足跡を辿っていくことになるのでした。

 

その一方、通り魔事件の犯人に興味を抱く記者が現れます。記者は犯人が自分と同じような恵まれない境遇で育ったことを知り、その生い立ちを本として出版しようと考えます。

 

主人公の立ち直っていく姿と、一線を超えて加害者になった犯人と超えなかった記者の境界がどこにあったのかを並列に書く…のがテーマなのかな…?

 

テーマを並列にしてしまったことで、どちらも中途半端になってしまっている印象を受けました。登場人物にもあまり魅力を感じず、感情移入もしにくかったので、個人的には今一つ楽しめませんでした。