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あらゆるものを一口レビュー

【ブックレビュー】「皐月物語(新聞小説)」島本理生 評価:☆☆

心を病んだ女性が、周りの人との関わりの中で再生していく物語。

ストーリーも微妙、文章も好きではありませんでした…。

主人公は20代半ばの女性。心を病んで引っ越したばかりで、今はゆっくりと過ごしています。彼女には幼い頃に生き別れた兄がおり、主人公と交互に今の生活が語られます。

 

ストーリーには特に起伏もなく、惹かれる点はありませんでした。周りの人々との交流で主人公は少しずつ回復していくのですが、関わりも弱いですし、主人公がいまいち何をしたいのか分からず、共感もできませんでした。

 

終盤で兄妹の再会もあるのですが、そこもなんだかなあ…という感じ。

 

また、文章にも引っ掛かる点が多かったです。

 

例えば、主人公に突然電話が掛かってきてスケジュール帳を見て予定を確かめ始める場面。その前に何も説明がないので、誰からの何の電話かも分かりません。主人公が返事をした後、ようやく知り合いからの仕事の電話だと説明があります。

 

ドラマチックな連絡ならともかく、普通の電話に出るだけなので、ただの説明不足に思えます。

 

他にも、スマートフォンのメールを見る場面で

「ただ文面自体にはたしかに読んだという証拠を表す、既読、の文字が付いていた。」

とか、主人公が他に兄弟はいるんですか、と聞かれた際の答えが

「身内全員で私に隠していたとすれば、別ですけど」

だったりなど、描写がくどいと感じてしまう箇所があったり、

再会の場面で

「嬉しさと戸惑いと懐かしさとがいっぺんに込み上げて、私は具合が悪くなりかけた。」

など、どうもしっくり入って来ない表現が多かったです。

 

まあ、これは個人的な感覚の問題も多分にあるでしょうから、人によるとは思います。

ただ、私にとってはあまり面白いとは思えず、読むのが少し苦痛に感じる作品でした。