「みをつくし料理帖」シリーズ第3巻。
この巻も変わらず傑作です。こんなに高いレベルを維持して作品を書き続けるって、天才かよ…。
前巻のレビューはこちら。
今作でも、行方不明になっていた芳の息子、大坂天満一兆庵の後継ぎ・佐兵衛の手掛かりが掴めたり、吉原で鱧料理を作ったり、偽つる屋が現れたり、ふきの弟・健が行方不明になったりと波乱万丈。
その中を、澪が懸命に真っ直ぐに歩いていく姿に胸を打たれます。
特に、吉原での鱧料理の場面。
楼主「女の作った料理なんか銭を払って食えるか!別の料理人を呼ぶから帰れ!」
料理人「手出し口出しするんじゃねえ!」
からの
料理人が噛まれる、毒のある血が目に入る
↓
澪が華麗にさばき、調理
↓
楼主「こ、これはなんという…」
このカタルシス。
当たり前だ!俺の澪ちゃんを舐めてんじゃねえ、馬鹿野郎!
という気分。
それも、澪は見返してやろうなどという気持ちではなく、一心に幼馴染の野江のことを想っての結果なのが感動的。
また、新顔として清右衛門の作品を出版している版元・坂村堂、源斎の母・かず枝も加わり、ますます賑やかに。小松原の正体も少しずつ分かってきます。
みをつくし料理帖シリーズの唯一の欠点は、つい目が潤み鼻をすすりしてしまうので、うっかり外で読むと周りの目が気になるところですね…。
また次巻も楽しみです!
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