【ブックレビュー(シリーズ第1巻/全10巻)】「八朔(はっさく)の雪」髙田郁(かおる) 評価:☆☆☆☆☆
「みをつくし料理帖」シリーズ第1巻。
書評などで好評価だったので、気になっていた作品です。ただ、私が料理にあまり興味ないので、読んでも面白くないかなあと思っていたのですが…。
どハマりしました。
なにこれ、めちゃくちゃ面白いやん!
まず文体が素晴らしいです。人の動作や料理の味や温度、風景までがいきいきとしていて、まるで自分がそこにいるように錯覚してしまうほどです。また、登場人物の心情がそれぞれの所作から伝わってきて、一緒にハラハラしたり笑ったり泣いたりしてしまいました。
ここまで入り込める小説は中々ありません。
また、登場人物にも魅力が溢れています。
主人公は、料理屋「つる屋」で働く澪。普段はややおっとりした少女ですが、料理に関しては鬼気迫るほどの情熱とそれに見合う才能を持ち合わせています。
澪を取り巻く人々も、大坂での奉公先の女将・芳、人の良い店主・種市、同じ長屋で何かと世話を焼いてくれるおりょう、謎の多い侍・小松原など、個性的でいながら皆温かい。読んでいてほっこりした気持ちにさせてくれます。
この巻では、それぞれの登場人物の過去やライバル店・登龍楼の妨害を絡めながら、澪が工夫して新しい料理を考え出し、成長していく姿が描かれています。(読んだときに楽しんで頂きたいので、あえて内容は詳しく書きませんが)
温かい人間ドラマであり、少女の成長物語なので、料理に興味がなくても全く問題ありません!
(自分がそうでしたし…)
本当に1度読んでみて欲しい作品です。
自信を持ってお勧めします!!
なお、コミカライズやドラマ化もされているようなのですが、そちらは未視聴・未読なのでここでは言及できません。申し訳ありません…。
次巻のレビューはこちら。