【アニメレビュー】「甲鉄城のカバネリ」 評価:☆☆☆
和風のスチームパンクゾンビアクション。音楽とアクションシーンは最高峰で世界観もキャラクターも魅力的なのに、脚本が残念すぎる…!
魅力その1 和風スチームパンク&ゾンビな世界観
まず世界観が良いです。
舞台は「カバネ」という化け物がはびこる、日本そっくりな国「日ノ本」。
カバネというのはいわゆるゾンビです。死体が人に襲いかかり、噛まれた人もカバネになってしまいます。一般的なゾンビと少し違うのは、動きが俊敏なことと、核となる心臓部分が硬くて並の武器では全く歯が立たないこと。また、戦う中で戦い方を学習したりもします。相当厄介ですね。
日ノ本には既にカバネが蔓延しており、人々は身を守るために「駅」と呼ばれる砦を築いてその中で生活しています。一見進撃の巨人を思わせる設定ですが、ここからが本領です。砦が「駅」と呼ばれている所以ですが、駅同士は線路で繋がれており、そこを「駿城(はやじろ)」という装甲を付けた蒸気機関車が行き来しています。
そう、この世界の動力は蒸気機関なんです。スチームパンク好きとしてはこの世界観に胸が踊ります!
駅の外には当然カバネがうろついているので、駅や駿城がカバネにやられてしまうこともある、非常にシビアな世界。常に緊張感が漂っていて、ドキドキします!
魅力その2 キャラクター
主人公は蒸気機関の技師、生駒(いこま)。この世界には、カバネと戦う「侍」という職もあるのですが、侍ではなく技師というのが面白いです。生駒は幼いときにカバネに襲われ、妹を助けられなかったという過去を乗り越えるため、日々カバネとカバネを倒す武器の研究をしています。
技師だし冷静にカバネの研究とかしてるからクール系かなー、と思っていたら正反対の熱血漢でした。最初はギャップに戸惑いましたが、徐々に慣れてその内これがクセになりました。ちなみにほぼ毎回、何かしらアツいセリフを吐いてます。
そして欠かせないのがヒロイン、無名(むめい)。
このアニメの90%は彼女と彼女のアクションシーンの魅力でできています。
とにかく強くて可愛い。
他にも、生駒の親友で常に力になってくれる逞生(たくみ)、世話焼きの少女鰍(かじか)、領主の娘で悩みながらもリーダーであろうとする菖蒲(あやめ)、菖蒲に忠誠を誓う侍来栖(くるす)、寡黙な運転手侑那(ゆうな)、クールな巣刈(すかり)といった脇役がしっかり味を出しています。
それぞれの関係性がきちんと描かれていて、人間模様も楽しめます。
魅力その3 アクションシーン
とにかくアクションシーンが最高に格好良い!!
ストーリーと関係なく、その動きだけで感動しました。こんな体験は初めてでした。
アクションシーンだけでも、このアニメを見る価値があると断言できます。
こればかりは言葉にはできないので、実際見てもらった方が良いです!
魅力その4 音楽
これがまた、壮大で格好良くて、鳥肌が立つレベルの神曲が揃ってます。
作曲しているのは澤野弘之さん。You Tubeで視聴できます。
本当に、よくテレビでこれだけ高品質なアニメーションと音楽を実現したものだと驚きです。このまま映画として上映しても良いレベルです。凄すぎる!!
そして、全てを台無しにする脚本
神作になる要素が揃っていたこのアニメが、何故こうなった…。
いや、原因ははっきりしているんです。
途中までは生き延びることそのものが目的となっていたので、良かったんです。
しかし、途中から人間の敵が出てきて、それを倒すことが主軸になりました。
それは良いとして、その敵に魅力が全く無い。動機と目的と手段に全く理解も共感もできない。
「は?ナニイッテンノコイツ?」
って、思わずエセ外国人みたいになっちゃいますよ。
だって、動機が「特定の個人に恨みがある」→分かる
だから「国を滅ぼそう」→!?
そのために「これまでじっと潜伏していたけど、とりあえず関係ない駅で大暴れ」→!!??
誰か説明して下さい。泣きそうです。
当然、そんな敵ボスに従う部下にも
「そんなボスで大丈夫か?」
って言いたくなるので、いくら忠誠心とか見せられてもしっくり来ません。
重ね重ね、実に残念すぎる作品でした…。